指揮棒

クラシック音楽のナゼ? Vol.1

Question
指揮棒を持たない指揮者がいるのは、なぜ?



Answer
コンサートホールのステージが明るくなったから

text:La Valse 編集部

19世紀初めから、ロマン派と呼ばれる時代になって、スケールが大きく内容の多彩な音楽が書かれるようになると、オーケストラがきちんと演奏するために、正しく的確に合図をする人が必要になり、「指揮者」という、唯一楽器を弾かない演奏家が生まれました。その頃、コンサートホールの中はとても暗かったので、指揮者は「タクト」と呼ばれる、おもに白い棒(見やすいように)を振るようになりました。

それから百年ほど経った20世紀前半に、“発明王”エジソン(異説あり)が白熱電球を発明すると、それがコンサートホールの照明に使われるようになり、ステージが明るくなりました。もちろん、指揮者の指示はタクトを振った方が見やすかったのですが、やがてストコフスキーを筆頭に、ブーレーズやアーノンクール、最近の小澤征爾もそうですが、タクトを持たず、両手で指揮する人が増えてきました。それは何よりもステージ上が明るくなって、指揮者がタクトを振らなくても、指示がよく見えるようになったからです(もちろん、客席は今も暗いです)。

指揮者は、両手で指示するとオーケストラに伝えたい表現のニュアンスを明快に柔軟に伝えやすいと言います。実際、タクトを振らない指揮姿というのは、オーケストラとの対話がうまくできているような感じがしないでもありません。