マスネ《ウェルテル》| 岸純信のオペラ名作早わかり 〜新時代のオペラ作品ガイド 第2回 

text:岸 純信(オペラ研究家)

【あらすじ】
青年ウェルテルは、訪問先の娘シャルロットに恋し、シャルロットの側も彼に惹かれるが、彼女には既に婚約者アルベールがおり、自分の妹ソフィーもウェルテルに好意を寄せていた。すれ違う心が互いを傷つけた結果、ウェルテルは命を絶ってしまう。

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「決まった相手がいる人を、知らずに好きになった」とき、人間はどこまで想いを抑えることが出来るだろう。“不倫”と一刀両断にしてよいものか?《ウェルテル》の主人公は23歳の青春真っ盛り。自然を愛し、子どもの笑顔に癒される好青年である。その彼が20歳の娘シャルロットを紹介されたことで悲劇の幕が開く。舞踏会に行き、すっかり打ち解けたウェルテルは素直に恋心を語る。でも、そこで彼女は告白「母が決めた婚約者がいます」。絶望した彼は叫ぶ「僕は、死ぬでしょう!」・・・やがて、その言葉が現実となってしまうのだ。

新国立劇場《ウェルテル》2019年公演より
ウェルテル(サイミール・ピルグ)とシャルロット(藤村実穂子)
撮影:寺司正彦

ドイツの文豪ゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』を原作に、フランス人のマスネが作曲した《ウェルテル》(1892)は、初演から不動の人気を誇るオペラ。繊細な歌のメロディとオーケストラの雄々しい響きを通じて、愛情の行方をストレートに描いた名作である。

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