バッハをめぐるジャズ(1)| クラシック・ファンのためのJazz入門 第3回

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text:藤本史昭

前の回でご紹介したブラッド・メルドーの『アフター・バッハ』もその一例ですが、クラシックの作曲家の中でも特にバッハはジャズと相性がよろしいようで、多くのミュージシャンがその楽曲をカヴァーしています。

では、なぜ相性がいいのか。

理由の1つは、バッハの音楽の多くが、踊りのために書かれているということです。踊りのためということは、テンポが一定であるということ。つまり、等速ビートにのせてスウィングしていくのがその醍醐味の1つであるジャズとは、必然的に親和性が高くなるというわけです。……と自慢気に書いていますが、残念ながら実はこれ、僕の発見ではなく、故・吉田秀和氏が本の中で書かれていることなんです。いや、さすが。よくグールドやアルゲリッチのバッハは、グルーヴがあってジャズっぽいといわれますが、それはこの論考を逆のほうから証明しているといえるでしょう。

ついでにもう1つ、吉田さんの論から借用すると、バッハの音楽でもっとも後回しにされた要素は“音色”だった、と。だから彼の作品には、楽器の指定のないものもたくさんある。裏を返せばこれは、バッハの音楽が、どんな楽器、あるいはどんな編成で演奏されても微動だにしない強靱さを有しているということになるでしょう。これもまたバッハがジャズでよく取り上げられる大きな要因かもしれません。

さて、それではバッハをめぐるジャズにはどんなものがあるか。

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この記事を書いた人

藤本 史昭(Fumiaki Fujimoto)

1961年、宮崎市生まれ。大学卒業後クラシック音楽専門誌編集部に入社しカメラを始める。1991年からは『スイング・ジャーナル』誌ディスク・レビュアーを担当。以降ジャズ誌やwebマガジンの記事、CDのライナーノーツを多数執筆。現在は『JaZZ JAPAN』誌に寄稿する一方で、クラシック音楽関連の写真家としても活動している。共著に『200DISCS ブルーノートの名盤』『菊地成孔セレクション〜ロックとフォークのない20世紀』(いずれもGakken)、『文藝別冊 セロニアス・モンク』『文藝別冊 チャーリー・パーカー』『文藝別冊 ジョン・コルトレーン』(いずれも河出書房新社)等がある。