美空ひばりに導かれて|ヴィタリの心の歌

連載 ヴィタリの心の歌 人気ロシアン・バリトンが語る日本とロシアの歌 第1回

text:ヴィタリ・ユシュマノフ

美空ひばりの「愛燦燦」では、「人生って不思議なものですね」と歌われている。本当にそうですね。人間は、人生に迷っているところで神様に時々いい道を見せてもらうと思いませんか? その道を選ぶかどうかはそれぞれの自由だけど。
もし16歳のときに「あなたは歌手になって、日本に住むよ」と言われたら笑ってしまったかもしれません。

ヴィタリ・ユシュマノフ © Masaaki Hiraga

僕はとても普通の子どもで、自分はこの先何をすればいいのかまったく分からず、学校を卒業するときに父親に相談して、経営大学に入りました。そこでの勉強は面白かったけれど、こんな仕事をしたいとは全然思っていなかった。何か興味を持ってやれること、命をかけてやりたいことがなくて、本当に困っていたときに不思議なことが起こりました。そのとき、なぜか5月なのに、テレビでウィーンからのクリスマスコンサートが再放送されていて、私はそんなに声楽に興味を持っていなかったけれど、何となく見始めました。

その番組を見て、「あなたは歌ったらよい」と教えてもらったような気がした。
そうして「これだ! こんな風に歌いたい」と決め、勉強を始めて、マリインスキー劇場の研修所に入りました。

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この記事を書いた人

ヴィタリ・ユシュマノフ

サンクトペテルブルク生まれ。マリインスキー劇場の若い声楽家のためのアカデミーで学ぶ。ライプツィヒのメンデルスゾーン・バルトルディ音楽演劇大学を卒業。2013年以来、度々来日し各地で演奏。15年より日本に拠点を移す。CDも『Parole d’amore』(オクタヴィア)、「『ありがとう』を風にのせて〜日本名歌曲集〜」(オクタヴィア)など3枚をリリース。日本では《ドン・カルロ》ロドリーゴ侯爵役、《ドン・ジョヴァンニ》ドン・ジョヴァンニ役、《ラインの黄金》ドンナー役に出演。18年にはプレトニョフ指揮、ロシア・ナショナル管と演奏会形式で、歌劇《イオランタ》にエブン=ハキア役で出演。19年には《ドン・ジョヴァンニ》をタイトル・ロールとして全国4公演に出演した。日本トスティ歌曲コンクール2015第1位、第14回東京音楽コンクール第2位、第52回日伊声楽コンコルソ第1位および最優秀歌曲賞受賞。藤原歌劇団団員。
公式ウェブサイト
http://vitalyyushmanov.com/