連載開始にあたって考えた、いくつかのこと

連載 クラシック・ファンのためのJazz入門 第1回

text:藤本史昭


ジャズについての文章を書く仕事をしていると、「最初はどんなアルバムを聴いたらいいですか?」と尋ねられることがしばしばありますが、実はこれ、なかなか難問なんです。

もちろんビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』とかオスカー・ピーターソンの『プリーズ・リクエスト』みたいな大名盤をつらつら挙げるのは簡単ですよ。でもそれが、その人にとって本当に聴きたいアルバムであるかというと、これはちょっと疑問なわけで。たとえば、それまでギンギンのロックを聴いてきた人にはそういうアルバムは退屈かもしれないし、ポップス・ファンの人は「歌がないとピンとこない」と感じるかもしれない。

ではクラシック・ファンはどうか。
たしかにエヴァンスもピーターソンも、いわゆる1つのブルージーでアーシーな“どジャズ”よりは、すんなり受け入れられるかもしれません。でもどうせ「クラシック・ファンのためのジャズ入門」と謳うのなら、もう少しクラシックに引っかかるような作品やアーティストをこの連載では紹介していきたい…かように思うわけであります。

しかし、クラシックに引っかかるジャズって具体的にはどんなものなのか。
① クラシックの曲をジャズ・アレンジで演っている。
② ジャズ・ミュージシャンがガチでクラシックの曲を演奏している。
③ クラシックとジャズの境界を超えた新しい音楽を創造している。

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この記事を書いた人

藤本 史昭(Fumiaki Fujimoto)

1961年、宮崎市生まれ。大学卒業後クラシック音楽専門誌編集部に入社しカメラを始める。1991年からは『スイング・ジャーナル』誌ディスク・レビュアーを担当。以降ジャズ誌やwebマガジンの記事、CDのライナーノーツを多数執筆。現在は『JaZZ JAPAN』誌に寄稿する一方で、クラシック音楽関連の写真家としても活動している。共著に『200DISCS ブルーノートの名盤』『菊地成孔セレクション〜ロックとフォークのない20世紀』(いずれもGakken)、『文藝別冊 セロニアス・モンク』『文藝別冊 チャーリー・パーカー』『文藝別冊 ジョン・コルトレーン』(いずれも河出書房新社)等がある。