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ジャズとクラシックのハネムーン| クラシック・ファンのためのJazz入門 第5回
text:藤本史昭 ところで、ジャズとクラシックは相反する音楽…そういう印象を持っている方は、実は少なくないのではないでしょうか。かくいう僕も、「その相反するものも、実はこんなにうまく混淆してますよ」ということを言いたいがためにこの連載を始めたわけで、つまりは自分の中にもそういう思いが潜在的にあるのかもしれません。 そのように考えてしまう最大の理由はやはり、クラシックが(基本的には)書かれた音を再 […] -
グレン・グールド | 戯言ゴルトベルク変装曲集 Goldberg Variations 第3回
text:四方善郎 ピアノによるゴルトベルク変奏曲と言えばグレン・グールド。ゴルトベルク変奏曲では必ずや触れなくてはならないグールドのゴルトベルク変奏曲。しかし、1955年の旧録音、1981年の新録音についてはこれまでいったいどれほど多くのことが語られてきたことか。そこでグールドが遺したこれら新旧名盤以外のゴルトベルク変奏曲全曲演奏について挙げておこうと思う。 ◆グレン・グールド Glenn Go […] -
【ゲネプロレポート】藤原歌劇団公演《ランスへの旅》
ソロの妙技と演技、 そして華麗なアンサンブルの醍醐味きかせる高水準の舞台 《ランスへの旅》は、ロッシーニがフランス国王シャルル10世の戴冠祝賀行事のために作曲したカンタータ。作曲から159年経った1984年に、ペーザロ・ロッシーニ・フェスティバルで「オペラ」として復活上演され、その後世界の歌劇場のレパートリーになった。藤原歌劇団がこの作品を上演するのはこれが3回目。今回は、2015 […] -
バッハをめぐるジャズ(2)| クラシック・ファンのためのJazz入門 第4回
text:藤本史昭 前回取り上げたジャック・ルーシェやオイゲン・キケロのアルバムは、いってみればジャズ・バッハの幼年期的作品でした。発想は野心的だし、音楽的な質も決して低くはない。しかしそのアプローチは、バッハの原曲のメロディやリズムをジャズっぽくフェイクしたり、即興し易いようにハーモニー進行を置き換えたりと、いたってシンプルなもので、極端にいえばガーシュウィンの曲を自分の解釈で演奏するやり方とそ […] -
【ゲネプロレポート】オペラ夏の祭典《トゥーランドット》が開幕!
スペクタクルだが細部で作り込まれた、全方位に隙のない圧倒的な舞台 取材・文:香原斗志 撮影:寺司正彦 新国立劇場のオペラ芸術監督、マエストロ大野和士の総合プロデュースの下、東京文化会館と新国立劇場が初めてタッグを組んで上演される「オペラ夏の祭典2019‐20 Japan↔Tokyo↔World《トゥーランドット》」。共同制作でこそ可能になったスケールの大きさに緻密な作り […] -
バッハをめぐるジャズ(1)| クラシック・ファンのためのJazz入門 第3回
<おしらせ> La Valse【公式】Facebookはじめました「いいね!」で最新記事をチェック♪ text:藤本史昭 前の回でご紹介したブラッド・メルドーの『アフター・バッハ』もその一例ですが、クラシックの作曲家の中でも特にバッハはジャズと相性がよろしいようで、多くのミュージシャンがその楽曲をカヴァーしています。 では、なぜ相性がいいのか。 理由の1つは、バッハの音楽の多くが、踊りのために書 […] -
ブラッド・メルドーの現代性 | クラシック・ファンのためのJazz入門 第2回
text:藤本史昭 前回、ブラッド・メルドーは積極的にクラシック音楽にコミットしている、と書きましたが、そういう彼の傾向は、最初から露わになっていたわけではありません。むしろこの人は、レディオヘッドのナンバーを好んで取り上げたり、現代ロックのビートを大胆に導入したり、要するに“今”の音楽シーンを体現するピアニストとしてまず注目されたのでした。 しかしながら、そういう演奏の中にも、メルドーがクラシッ […] -
シャウリス、ヴァン・ブロス、カヴァラ | 戯言ゴルトベルク変装曲集 Goldberg Variations 第2回
text:四方善郎 最初はピアノからいきましょう、とのことで、今回もピアノでの演奏によるゴルトベルク変奏曲をリストアップする。推薦盤というより、私が繰り返し聴いている盤と言った方が正しいかもしれない。ゴルトベルク変奏曲は聴くポイントが人それぞれで、好みが多方面に分かれるのも面白いところだろう。 ◆ゾラ・マエ・シャウリス Zola Mae Shaulis (piano) 収録時間:36:02 / 収 […] -
ソコロフ、バレンボイム、アンゲリッシュの「ゴルトベルク」 | 戯言ゴルトベルク変装曲集 Goldberg Variations 第1回
text:四方善郎 【 序文 】 クラシックファンに人気の音楽情報誌『ぶらあぼ』の新ウェブサイトで私にスペースが与えられることとなったというから、それはもうびっくり仰天だ。それもひたすらJ.S.バッハの《ゴルトベルク変奏曲 BWV988》のディスクについて書いてよいというのだから。たしかに私は人生の半分どころか、高校生くらいから40数余年の間《ゴルトベルク変奏曲》に魅了され聴き続けてきた。それは聴 […] -
連載開始にあたって考えた、いくつかのこと
text:藤本史昭 ジャズについての文章を書く仕事をしていると、「最初はどんなアルバムを聴いたらいいですか?」と尋ねられることがしばしばありますが、実はこれ、なかなか難問なんです。 もちろんビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』とかオスカー・ピーターソンの『プリーズ・リクエスト』みたいな大名盤をつらつら挙げるのは簡単ですよ。でもそれが、その人にとって本当に聴きたいアルバムであるかというと、こ […]