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METデビュー! 藤村実穂子(メゾソプラノ)インタビュー
原点見つめ直す《さまよえるオランダ人》にマリー役で出演、 日本人初のMETライブビューイング登場、そして今伝えたい大切なメッセージ 取材・文:池上輝彦(音楽ジャーナリスト) 日本が生んだ世界屈指のメゾソプラノ・藤村実穂子が米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)に満を持してデビューを果たした。3月10日上演のワーグナーの歌劇《さまよえるオランダ人》マリー役を歌い演じた。独バイロイト音楽祭やウ […] -
エリーナ・ガランチャ(メゾソプラノ)| いま聴いておきたい歌手たち 第14回
text:香原斗志(オペラ評論家) ハングリー精神とテクニック 忘れている人、あるいは知らない人も多いのではないだろうか。2003年11月、新国立劇場で上演されたオッフェンバック《ホフマン物語》にエリーナ・ガランチャは出演し、ニクラウス/ミューズを歌っていた。もちろん、低域から広域までのなめらかな声と豊かな感情表出で強い印象を残したけれど、まだ圧倒的な歌唱とまでは言えなかった。 03年は、ガランチ […] -
勅使川原三郎(ダンサー・振付家・演出家)ロング・インタビュー Part2
interview & text :岡見さえ photos:野口 博 旺盛かつ豊穣な創作と世界的な公演活動に加えて、2020年4月から勅使川原三郎は愛知県芸術劇場の芸術監督に就任する。任期は2024年3月までの4年間。勅使川原は、中部圏を代表する芸術文化拠点であるこの劇場を、どのように発展させていくのだろう? そしてアーティストとしての展開は? 前号から続くインタビューの後編では、今後の展望を聞い […] -
勅使川原三郎(ダンサー・振付家・演出家)ロング・インタビュー Part1
interview & text :岡見さえ photos:野口 博 世界的な振付家、ダンサーであることはもはや言を俟たず、さらに4月より愛知県芸術劇場芸術監督就任が話題を呼んでいる勅使川原三郎。3月の新作世界初演は、東京芸術劇場と愛知県芸術劇場で上演される『三つ折りの夜』だ。19世紀フランス象徴派の詩人ステファヌ・マラルメの詩にインスピレーションを得て、勅使川原が演出・振付・照明・美術を担当、佐 […] -
イーヴォ・ポゴレリッチ(ピアノ)インタビュー
平凡な演奏家によって演奏されては、その輝きは聴こえてこない。 この輝きを聴かせるためには、相当の“宝石職人の手”が必要となるのです interview & text :片桐卓也 photos:I.Sugimura/Tokyo MDE 数々の伝説に彩られたピアノの鬼才イーヴォ・ポゴレリッチ。日本では2005年以降、比較的コンスタントにコンサートを聴く機会があったが、録音は1998年に発表されたショパ […] -
原田 諒(演出)インタビュー
〜宝塚歌劇団所属演出家が手掛ける《椿姫》正調の様式美の中に、濃密な人間ドラマを 東京二期会が2月19日からヴェルディのオペラ《椿姫》を上演する。二期会単独での上演は11年ぶりの新演出となる。演出には、宝塚歌劇団に所属し、第20回・24回読売演劇大賞 優秀演出家賞、第43回菊田一夫演劇賞を受賞するなど、演劇界をはじめ各方面から大きな期待と注目を集める原田諒を迎える。東京二期会20年ぶりとなる2009年の新演出では宮本亞門が演出に起用され […] -
ハビエル・カマレナ(テノール)| いま聴いておきたい歌手たち 第13回
text:香原斗志(オペラ評論家) 力強いアジリタと余裕の超高音 ファン・ディエゴ・フローレスがヴェルディやプッチーニ、あるいはグノーやマスネなどのフランス・オペラにレパートリーを拡大し、ロッシーニやベッリーニを歌う機会が少なくなった分、その穴を埋めているのがメキシコ出身のテノール、ハビエル・カマレナである。実際、メトロポリタン歌劇場(MET)のスターになったのも、フローレスの代役として登場し、聴 […] -
ダヴィデ・ルチアーノ(バリトン)| いま聴いておきたい歌手たち 第12回
text:香原斗志(オペラ評論家) スターダムをのし上がりつつあるバリトンの大器 20世紀までは、バリトンなら彼だ、と太鼓判を押せる歌手がいつも、それも複数いたように思うが、ここしばらくの間、20世紀の生き残りであるような大御所を除くと、絶対的な指標になるようなバリトンがいなかったように思う。ダヴィデ・ルチアーノこそは、久々に現れた大器というべきだろう。 2017年8月、ペーザロのロッシーニ・オペ […] -
ジャコモ・サグリパンティ(指揮) インタビュー 〜東京二期会オペラ劇場《椿姫》
エレガントで、激しくても下品にならないのが《椿姫》 ジャコモ・サグリパンティがいよいよ日本でタクトを振る。イタリアの若い世代の指揮者では、ミケーレ・マリオッティ、ダニエーレ・ルスティオーニ、アンドレア・バッティストーニが「三羽ガラス」として称揚されることが多いけれど、1982年生まれのサグリパンティの国際的な評価も、実は、これら3人に少しも負けていない。 作品の本質や味わいを、歴史的な文脈のうえで […] -
サイオア・エルナンデス(ソプラノ) | いま聴いておきたい歌手たち 第11回
text:香原斗志(オペラ評論家) リリコ・スピント、またはドランマティコの大器 ソプラノのなかでも、リリコ・スピント、あるいはドランマティコと呼ばれる、強くて押しのある声種の歌手が不足している。ヴェルディにせよ、プッチーニにせよ、ヴェリズモ・オペラにせよ、そういう声による激しい感情表現を必要とするオペラは数多く上演されているので、リリコ・スピントやドランマティコのための役を歌っているソプラノはい […] -
ステファン・ポップ(テノール) | いま聴いておきたい歌手たち 第10回
text:香原斗志(オペラ評論家) パヴァロッティに近いテクニック だれかと顔が似ていると思うと、声のトーンや話し方まで似ている、ということがよくあるが、この人の場合、体型がルチアーノ・パヴァロッティによく似ていて、歩き方も、手の動かし方も、首の振り方も近しい。さらには顔までが似た雰囲気で、想像がつくと思うが、歌い方もパヴァロッティを彷彿とさせるのである。 テノールの声が空気をつんざくように客席に […] -
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)ロング・インタビュー Part2
interview & text :小室敬幸 photos:野口 博 NHK交響楽団首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィに話をうかがうロング・インタビュー。後半戦はN響とのレコーディングや、2020年2〜3月に控えたヨーロッパツアーについて、じっくりと語っていただく。 ── パーヴォさんの指揮するN響のCDのなかで、バルトークにとりわけ強い感銘を受けました。これまでに発売されたもののなかでは唯一、完全にロ […]