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エリーナ・ガランチャ(メゾソプラノ)| いま聴いておきたい歌手たち 第14回
text:香原斗志(オペラ評論家) ハングリー精神とテクニック 忘れている人、あるいは知らない人も多いのではないだろうか。2003年11月、新国立劇場で上演されたオッフェンバック《ホフマン物語》にエリーナ・ガランチャは出演し、ニクラウス/ミューズを歌っていた。もちろん、低域から広域までのなめらかな声と豊かな感情表出で強い印象を残したけれど、まだ圧倒的な歌唱とまでは言えなかった。 03年は、ガランチ […] -
勅使川原三郎(ダンサー・振付家・演出家)ロング・インタビュー Part2
interview & text :岡見さえ photos:野口 博 旺盛かつ豊穣な創作と世界的な公演活動に加えて、2020年4月から勅使川原三郎は愛知県芸術劇場の芸術監督に就任する。任期は2024年3月までの4年間。勅使川原は、中部圏を代表する芸術文化拠点であるこの劇場を、どのように発展させていくのだろう? そしてアーティストとしての展開は? 前号から続くインタビューの後編では、今後の展望を聞い […] -
原田 諒(演出)インタビュー
〜宝塚歌劇団所属演出家が手掛ける《椿姫》正調の様式美の中に、濃密な人間ドラマを 東京二期会が2月19日からヴェルディのオペラ《椿姫》を上演する。二期会単独での上演は11年ぶりの新演出となる。演出には、宝塚歌劇団に所属し、第20回・24回読売演劇大賞 優秀演出家賞、第43回菊田一夫演劇賞を受賞するなど、演劇界をはじめ各方面から大きな期待と注目を集める原田諒を迎える。東京二期会20年ぶりとなる2009年の新演出では宮本亞門が演出に起用され […] -
ハビエル・カマレナ(テノール)| いま聴いておきたい歌手たち 第13回
text:香原斗志(オペラ評論家) 力強いアジリタと余裕の超高音 ファン・ディエゴ・フローレスがヴェルディやプッチーニ、あるいはグノーやマスネなどのフランス・オペラにレパートリーを拡大し、ロッシーニやベッリーニを歌う機会が少なくなった分、その穴を埋めているのがメキシコ出身のテノール、ハビエル・カマレナである。実際、メトロポリタン歌劇場(MET)のスターになったのも、フローレスの代役として登場し、聴 […] -
KABUKI × OPERA《光の王》記者発表会
東京2020 NIPPON フェスティバル主催プログラムとして、2020年4月18日に開催される公演「KABUKI × OPERA《光の王》」の記者発表会が1月29日に都内で行われ、出演者の市川海老蔵や、中原俊也(JXTGエネルギー株式会社 取締役 常務執行役員)、古宮正章(東京2020組織委員会副事務総長)が登壇した。 (2020.1/29 東京都内 Photo:I.Sugimura/Tokyo […] -
サイオア・エルナンデス(ソプラノ) | いま聴いておきたい歌手たち 第11回
text:香原斗志(オペラ評論家) リリコ・スピント、またはドランマティコの大器 ソプラノのなかでも、リリコ・スピント、あるいはドランマティコと呼ばれる、強くて押しのある声種の歌手が不足している。ヴェルディにせよ、プッチーニにせよ、ヴェリズモ・オペラにせよ、そういう声による激しい感情表現を必要とするオペラは数多く上演されているので、リリコ・スピントやドランマティコのための役を歌っているソプラノはい […] -
ステファン・ポップ(テノール) | いま聴いておきたい歌手たち 第10回
text:香原斗志(オペラ評論家) パヴァロッティに近いテクニック だれかと顔が似ていると思うと、声のトーンや話し方まで似ている、ということがよくあるが、この人の場合、体型がルチアーノ・パヴァロッティによく似ていて、歩き方も、手の動かし方も、首の振り方も近しい。さらには顔までが似た雰囲気で、想像がつくと思うが、歌い方もパヴァロッティを彷彿とさせるのである。 テノールの声が空気をつんざくように客席に […] -
シャビエル・アンドゥアガ(テノール) | いま聴いておきたい歌手たち 第9回
text:香原斗志(オペラ評論家) 24歳ですでに重ねている国際的キャリア 今回は「先物買い」の楽しさを提供したい(今後もときどき提供する)。1995年6月5日生まれ。現在24歳。日本人の歌手や歌手の卵なら大学か大学院で勉強中であり、これから留学を検討するかどうかという年齢である。しかし、シャビエル・アンドゥアガは、すでに国際的なキャリアを歩みはじめている。 2020年前半の予定だけでも、パリのオ […] -
美内すずえ(漫画家) × 小林沙羅(ソプラノ)インタビュー 〜日本オペラ協会 歌劇《紅天女》
interview & text:室田尚子 photos:青柳 聡 日本オペラ協会が2020年初春に放つスーパーオペラ《紅天女》。大ヒット少女マンガ『ガラスの仮面』の作中劇として知られるこの作品のオペラ化が発表されるや、オペラ界のみならず、ミュージカル・ファンやマンガ・ファンからも熱い視線を浴びている。『ガラスの仮面』原作者であり本作の脚本・監修も手がける美内すずえは、キャストのオーディションにも […] -
又吉秀樹(テノール)& 山本耕平(テノール)インタビュー 〜東京二期会《天国と地獄》
東京二期会がこの11月に上演するのは、鵜山仁演出による新制作の《天国と地獄》。ギリシャ神話の「オルフェウスとエウリディケ」を下敷きにしたオッフェンバックの傑作オペレッタにオルフェ役で出演するのは、又吉秀樹と山本耕平という、今もっとも脂の乗っているふたりのテノールだ。実は、東京藝術大学の同級生でもあるふたりに、役にかける意気込みや、お互いへの思いなどを語ってもらった。 取材・文:室田尚子 写真:寺司 […] -
《エウゲニ・オネーギン》が描く真実の愛とは?| ヴィタリの心の歌 第5回
10月には、また人生で初めての経験をさせていただきました。新国立劇場でのチャイコフスキーの歌劇《エウゲニ・オネーギン》にオネーギン役のカバーキャストとして携わったのです。本キャストの皆さん、体調を崩すこともなく最後までお客さんに最高の舞台を見せてくれたので、本番で歌うことはありませんでしたが、カバーすることもまた簡単ではないとよく分かりました。 ずっとリハーサルを観ていて、本当に毎回感動しました。 […] -
東京・春・音楽祭2020 概要発表
10月28日、東京文化会館にて、「東京・春・音楽祭2020」の概要発表記者会見が開かれた。16回目の開催となる今回は3月13日から4月18日までの5週間強にわたって、オペラ、オーケストラ、室内楽など、200を超える公演が開催される。 (2019.10/28 東京文化会館 Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE) 左より:銭谷眞美(上野の山文化ゾーン連絡協議会 会長/東京国立博物館 館長) […]